不毛な会議に終止符を!解決志向で会議が変わる~前編~

こんにちは、人材開発プロデューサーの増田崇行です。

今回は「解決志向」×「会議」をテーマに

「最大限の効果が出る会議をするにはどうすればいいのか」を考えていきたいと思います。

このブログを読んでくださっている皆さんの中にも「現状の会議に不満を持っている」方は多いのではないでしょうか。

そんな皆さんの会議をより良いものにするお手伝いができたらと思います。

 

理想の会議像とは

 

仕事はもちろん自治会や家族会議にいたるまで「会議」をする機会は多いものです。そもそも私たちは何のために会議をするのでしょうか?私たちが「会議に求めるもの」は何でしょうか?具体的な改善策の前に理想の会議像について考えてみたいと思います。

 

一般的に会議を開くきっかけは何か変化を起こしたいときです。

現状のままでは上手くいかなくなった時・新しいことを始めて今以上の成果を出したいときなどが挙げられると思います。

私たちは会議を通して「変化」を起こしたいと思っていますが、ただ変化すれば良いのではなく、それが良い変化である必要があります。

 

つまり、会議を開いた「結果」に求めるものは以下にまとめられます。

・現状に変化を起こすための方向性が決まる

・それが、良い変化につながるものだと期待できる

・決まった方向性に対して、参加者が前向きな姿勢になっている

 

次に、会議の「過程」には何を求めるのでしょうか?

・できるだけ短い時間で会議を終わらせる

(沈黙がない、密度の濃い会議)

・相手を責める・自分が責められるなどのストレスがない

(空気の悪い会議にしない)

 

例えば、沈黙が続いたり、または、相手を責める・自分が責められる会議では方向性が決まらないまま終わってしまう可能性が高く、たとえ方向性が決まったとしてもそれに対して前向きな姿勢になることは難しいですよね。

つまり、先に挙げた会議に求める「結果」は同じく会議に求める「過程」が満たされて初めて達成されるわけです。

この「過程」を達成するために有効なのが「解決志向」です。「解決志向」を使えば理想の会議を現実にすることが可能です。

 

ある情報システム会社で

 

では、まず以下の事例を見てください。

ある情報システム会社では立て続けに複数の顧客からクレームがありました。どのクレームも営業担当と開発担当の言い分が食い違うという点が共通していたため、営業と開発の課長クラスを集めて会議を開くことになりました。その会議の担当者が作った開催案内には、次のように書かれていました。

 

開催案内A 開催案内B
なぜ顧客からのクレームが繰り返されるのか。

なぜ営業と開発の担当者間で、認識や理解の食い違いが起きているのか。

なぜ営業と開発が協力しあえないのか。

会議では、これらの根本原因を徹底的に追究して解明し、問題をなくすための解決策を具体化します。

 

どのようにすればクレームがなくなるか。

どのようにすれば営業と開発の担当者間で、認識や理解をもっと共有できるか。

どのようにすれば営業と開発の協力体制がもっと強くなるか。

会議では、これらの実現イメージを共有し、そこに向かうための解決策を具体化します。

 

 

皆さんの普段の会議はどちらでしょうか?

皆さんはこの2つの開催案内を比べてそれぞれどのような会議になると想定されますか?

 

あなたの会議はどちらですか?

 

上の2つの開催案内では問題の解決策を具体化するという求める結果は同じでも、そこにたどり着く過程は全く異なります。2つは異なる会議になるわけです。

何がいけない?何が悪い?なぜできない?

まず、Aの会議について考えていきましょう。

Aは何がいけない?何が悪い?なぜできない?と問題の原因を追究する会議になることが予想されます。この会議の期待できる点と懸念される点をまとめると以下のようになります。

 

期待 懸念
・論理的に真因究明ができる

・本音で話し合える

・問題を理解できる

・相手の悪いところの指摘

・責任のなすりあい

・過去の問題の蒸し返し

・反発・抵抗感の高まり

・モチベーションの低下

 

このAの会議は問題の原因に着目するため、「問題志向」と呼ばれるものです。

どうしたらできる?どうなっていればいい?

次にBの会議について考えます。

Bはどうしたらできる?どうなっていればいい?と解決イメージを構築する会議になることが予想されます。この会議の期待できる点と懸念される点をまとめると以下のようになります。

 

期待 懸念
・新たな発想や方策の探求

・出来ているイメージの共有

・方向性共有一体感の醸成

・前向きな意欲の高まり

・真因が見えない

・おざなりな施策になりやすい

・根本的な解決には至らない

 

このBの会議は問題の解決策に着目するため「解決志向」と呼ばれるものです。

 

問題志向と解決志向

 

さて、問題志向と解決志向という2つの志向についてここで一度まとめたいと思います。

まず、問題志向とは

問題と原因を理解して、その原因をなくすための解決策を考える(過去から現在の問題を考える)志向です。

次に、解決志向とは、

解決した状態や成功した状態を描き、過去の成功要因を基にそれを実現するための解決策を考える(未来から解決策を考える)志向です。

 

皆さんは普段どちらの志向を使っているでしょうか?

おそらく問題志向に慣れ親しんでいる方の方が多いのではないでしょうか?

私は研修の受講者など今まで多くの方に解決志向を伝える機会がありましたが、ほとんどの方は問題志向を利用して生活していらっしゃいます。

ここで、先程の事例に戻ってみましょう。

結論として、この事例では開催案内Bの会議の方が成果の出る会議になりやすいと言えます。

なぜなら、この会議にはクレームに対する言い分が営業担当と開発担当で食い違っているという前提があるからです。

立場の違う両者の課長が集まって開催案内Aで進行していくとどうなるでしょうか。お互いの悪いところを指摘し、責任のなすりつけ合いになった結果、解決へのモチベーションが下がってしまう。まさに開催案内Aで懸念される点が現実に起こってしまう可能性が高い場合なのです。

 

つまり、問題の原因が立場によって異なる見方ができるとき、問題の原因を追究することは不毛な会議の沼にはまるきっかけとなってしまいます。

一方、開催案内Bで進行していく場合、お互いが対立関係ではなく、協同関係になることができます。少なくとも、Aの懸念点は解消され沈黙やストレスの少ない会議になることが期待できます。

 

今回は理想の会議はどのようなものなのか、具体的な事例を通して2つの会議で用いられる志向から想定されることを考えました。

この2つの志向は優劣があるのではなく、状況に合わせて使いこなすことが大切です。

次回の「不毛な会議に終止符を!解決志向で会議が変わる~後編~」ではどのような場合にどちらの志向を使うことが適しているのかについて詳しくご紹介していきます。

 

このサイトでは皆さんにとってあまり馴染みのない「解決志向」の方に焦点を当てていきます。上記の通り、問題志向・解決志向どちらにも期待できる点と懸念される点があります。

つまり、状況にあった志向を選び、どちらも使いこなせるようになれば今までの皆さんの悩みの種が解消されることが期待できるのです。

 

最後まで、お読みいただきありがとうございました。次回もご期待ください。